コラム

ACFEから2022年度版の不正に関する報告書が公表されました!

ACFE(公認不正検査士協会)本部が隔年で発表する“Occupational Fraud 2022: A Report to the Nations®”の日本語版、『2022年度版 職業上の不正に関する国民への報告書』が2022年8月30日に公表されました。

この報告書は、世界中で生じた不正の要因や被害、発覚経緯等をACFEが取り纏めた最新の調査報告となっています。

なお、今回で12回目の報告書となりますが、コロナ禍で行われた不正とその調査が取り扱われています。

不正は自分と関係が無い話と思われるかもしれませんが、決して遠い別の国での話ではなく、多くが身近に存在する話です。

以下、一部抜粋で説明します。

不正の分類と発生割合

不正は、大きく「資産の不正流用」「財務諸表不正」「汚職」の3つに分類されます。

「資産の不正流用」は、メディアに取り上げられる従業員による横領事件の多くが分類されます。

「財務諸表不正」は、粉飾決算等が該当します。

「汚職」は、不正なキックバックや不正入札などが該当します。

今回の報告書におけるこの分類の世界中における発生割合は、以下のとおりです。

影響額(平均値)件数比率
資産の不正流用100,000ドル86%
財務諸表不正593,000ドル50%
汚職150,000ドル9%

「資産の不正流用」は、影響額は他の不正と比べると少ないですが、最も件数としては多い結果となっています。

「資産の不正流用」は、従業員が行っていることが多いため影響額は少ないですが、最も身近な不正と言える結果です。

なお、件数比率が合計で100%となっていないのは、複数の分類の不正が同時に実行されていることも多いため、1つの不正を複数の分類に分けたことによってこのような結果となっています。

不正が発見されるまでの期間

どれだけ努力をしたとしても、完全に不正を防ぐことは不可能です。長く事業を続けていれば、不正を試みる従業員というものは出てきます。

そのため、出来るだけ起こりにくい体制を構築することは当然重要ですが、定期的にチェックする体制を構築することで不正を迅速に発見できるようにすることも極めて重要となります。

不正は、発見されるまでの期間が長いほど影響額も比例して大きくなります。

発見までの期間影響額(平均値)件数比率
12ヵ月以下147,000ドル54%
13~24ヵ月以下235,000ドル22%
25~36ヵ月以下300,000ドル9%
37~48ヵ月以下698,000ドル4%
49~60ヵ月以下450,000ドル5%
61ヵ月以上800,000ドル6%

当然上記は、発見された氷山の一角部分の影響額であるため、発見できる体制が構築されていないことによって、現時点においても発見されずにずっと不正が続いているものもあります。

そのため、出来るだけ早く不正を見つけることができるための体制を構築することが重要です。

不正実行者に対する社内処分

不正を発見し、不正実行者を確定した後には不正実行者の処分の有無及びその方法を決定しなければなりません。

過去の調査結果同様、最も多い処分は「解雇」となっています。

不正実行者への処分件数比率
解雇61%
既に在籍していなかった12%
謹慎 / 停職12%
退職11%
示談10%
処罰せず7%
その他5%

上記のように不正が発覚した場合、長く働いてきた従業員を解雇し、多額の損失を会社が負い、長い間信頼してきた従業員の不正が発覚することで他の従業員も疑わしく思えてしまうといった状態になってしまいます。

このように全員が不幸な状態とならないようにするためにも、以下の対策を会社の規模にかかわらず行っておく必要があります。

  • 不正が生じにくい体制の構築
  • 不正を発見しやすい体制の構築

不正が生じにくい体制を構築しても、完全に防ぐことは不可能です。

そのため、不正が生じにくい体制の構築と、不正を発見しやすい体制の構築はセットで行っておく必要があります。

参考資料:『2022年度版 職業上の不正に関する国民への報告書』を公表しました

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