コラム
内部通報制度とは?
内部通報制度とは、不正や法令違反の早期発見や未然防止を主な目的として設置されることが多く、組織内外の者からの内部通報を受け付け、それを会社内部で調査・対応するための制度であり、内部統制システムやコンプライアンス経営のための不可欠な要素です。
改正公益通報者保護法が2022年6月1日から施行されたことに伴い、従業員の数が300人を超える事業者に対して、内部通報に適切に対応するための必要な体制の整備が義務付けられました。(従業員300人以下であれば努力義務)
内部通報制度の必要性と効果
企業の行う事業活動の中では、様々な法令や規則を遵守する必要があり、法律が改正されれば、改正された新しい法律を遵守しなければならず、知らないうちに違反をしているということも起こり得ます。
そのため、違法・不正行為を犯してしまった場合に速やかに是正する体制というものが非常に重要となります。
また、社内外からの「信頼」という観点においても、通報窓口を運用しているということが信頼向上に繋がり、ひいては自社の企業価値向上に寄与することとなります。
消費者庁による「平成28年度 労働者における公益通報者保護制度に関する意識等のインターネット調査報告書」および「平成28年度 民間事業者における内部通報制度の実態調査報告書」によると、以下の結果が出ています。
他の条件が同じであるならば、実効性の高い内部通報制度を整備・運用している事業者が取引先として信頼性が高いか、就労先として魅力が高いか、商品・サービスの購入に関する価値向上に繋がるかという調査で、すべてにおいて実効性の高い内部通報制度を整備・運用している事業者を選ぶという肯定的な回答が非常に多いという結果となっています。
取引先の信頼度 | 就職・転職したい | 商品・サービスを購入したい | |
---|---|---|---|
回答数(回答総数) | 1,436社(1,607社) | 2,451人(3,000人) | 2,568人(3,000人) |
肯定的な回答率 | 89.4% | 81.7% | 85.6% |
このように、実効性の高い内部通報制度を整備・運用している事業者は社内外からの信頼向上に繋がっているということが分かります。
そのため、内部通報制度をネガティブに捉えるのではなく、非常にメリットが大きいものと考え、義務化されていない企業においても内部通報に適切に対応するための必要な体制の整備が義務付けられ価値があります。
改正内容と必要な体制の整備
近年も社会問題化する事業者の不祥事が後を絶たないことから、早期是正により被害の防止を図ることが必要であるため、今回の改正となりました。
そのため、以下の内容で改正が行われました。
- 事業者自ら不正を是正しやすくするとともに、安心して通報を行いやすく
- 行政機関等への通報を行いやすく
- 通報者がより保護されやすく
義務化された必要な体制は、主に以下のような内容となります。
- 内部公益通報受付窓口の設置
- 内部公益通報に対する必要な調査の実施
- 調査の結果、法律違反行為が明らかになった場合の是正措置
内部通報制度をネガティブに捉えられている方がまだまだ多いかと思いますが、内部通報制度の重要性を認識することが重要です。
「不正を許さない」、「不正を見逃さない」、「不祥事を隠蔽しない」等を社内外にアピールし、何かあったときに速やかに是正することができる信頼度の高い企業としてアピールできるというポジティブな制度です。
また、ACFE(公認不正検査士協会)本部が隔年で発表する“Occupational Fraud 2022: A Report to the Nations®”の日本語版、『2022年度版 職業上の不正に関する国民への報告書』においても不正の最も多い発見方法は、外部監査などではなく、内部通報となっており、世界中で不正発見の42%が内部通報となっており、内部通報に次ぐ不正の発見方法の約3倍多い発見率となっています。
不正は長期化すれば長期化するほど、被害額は大きくなります。
そのため、実効性の高い内部通報制度を整備・運用し、不正や法令違反を早期発見や未然防止することは非常に重要です。
現時点において、内部通報に適切に対応するための必要な体制の整備が義務付けられていない企業においても、積極的に体制整備を検討する必要があります。
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